吉祥天は、古代インド神話に登場する女神・ラクシュミー(シュリー)が仏教に取り入れられ護法神となったものです。幸福や繁栄をもたらす福徳神として日本では奈良時代から盛んに信仰され、平安時代には天下泰平や五穀豊穣を願う吉祥悔過(きっしょうけか)の本尊として広まりました。
その姿は「15歳の女性のよう」と儀軌に記され、特に浄瑠璃寺像は切れ長の眼に合わされた墨描きの眉、彫りを極限まで浅く抑えた理智的な表情が、絵画的な美しさを感じさせます。 左手には願いを叶える如意宝珠を掲げ、右手は願いを聞く与願印を作り、ふくよかな体躯にまとう唐代貴婦人の衣裳は隅々まで繧繝彩色に彩られます。豪奢を極めるその姿はまさに、意のままに願いを叶える天女を体現しています。
「日本一の美人」とも称される美麗な造形を
手のひらサイズに
TanaCOCORO[掌]吉祥天
時を重ねて増す美しさ
細密現存仕様
制作は建暦2(1212)年とみられ、以降、秘仏として厨子に納められてきた浄瑠璃寺像。当時の彩色を今に残しながらも八百余年の時が随所に変化をもたらしており、確かな歴史を感じさせます。
イスムはこの経年変化を丁寧に再現。しっとり落ち着いた雰囲気となりました。
中央に鳳凰、左右に瓔珞の垂れる豪華な宝冠は数ミリのパーツを繋げて再現。
全身を覆う繊細な瓔珞はすべて別パーツで作成、リアルな立体感を実現。
時を経てなお際立つ、透きとおるような肌の質感を表現。
古に想い馳せる美
復元極彩色仕様
造像当時のきらびやかな姿を再現した極彩色バージョンも100体限定で再生産。わずか20センチの像がまとう衣裳や宝冠、瓔珞に施された細かな色合いを再現しました。
同系色の濃淡で表すグラデーション「繧繝彩色」に彩られた蓮華座も見どころです。
イスムの熟達した職人がフリーハンドで生み出す、美しい曲線を描く眉。
唐の礼服とされた大袖衣の花模様も一体一体手で描き入れる。
色鮮やかで美しい繧繝彩色の蓮華座。基台には吉祥天が海から生まれたことを表す文様も