後ろをふり返る造型が稀有な仏像。
イスムは、若々しく知的で気品に溢れる顔立ちと、像全体から醸し出される穏かな雰囲気を重視して製作。総高はわずか19センチながら、透かし彫りの見事な光背を完全に再現、如来本来の輝くゴールドで全身を彩色しました。

モデルは平安時代初期に造られたと見られる小松寺（千葉県南房総市）の本尊で、60年に一度しか開帳されない秘仏です。
2018年の小松寺開創1300年を記念し、特別に制作させていただきました。

力強い躍動感を損なわぬよう造型。独特のバランスで立つ躯体には堂々とした安定感を持たせながら、きつく刀印を結ぶ指先や、踏み上げた足の先にまでおよび緊張感を表現。
鮮やかに残る彩色はグラデーションを多用し、強さと鮮やかさを併せ持つ珠玉の逸品です。

その威厳と柔和さを兼ね備えた印象を再現するために、一年半にわたって試作を繰り返したイスム入魂の一作。
全身に残る木目まで精密に彫りこみ、一木造りの躯体の滑らかな美しさをあますところなく表現すると共に、十の頭上面に載る5mmにも満たない小さな化仏まで緻密に再現しています。